結論
会話がインタビューになるのは、相手から情報をもらうだけで、その情報に対するこちらの見方を返していないからです。
質問によって、
- 何が好きか
- 何をしたか
- どこへ行ったか
- どう思ったか
を聞くことはできます。
しかし、それだけでは相手はずっと「質問に答える人」のままです。
相手の回答を受け取ったら、軽く意味づけや仮説を返し、相手が否定・訂正・同意・反論できる形に変えます。
会話では、情報だけでなく、相手の態度が返ってくる状態を作ることが重要です。
質問を続けても、掛け合いにはならない
たとえば相手がジャニーズ好きだとします。
誰が好きなの? ○○くん どこが好き? 顔と性格かな いつから好きなの? 3年くらい前から
この会話では、情報は増えています。
しかし、構図はずっと変わりません。
自分が質問する 相手が答える
という関係のままです。
相手は自分の趣味を説明し、自分はそれを聞いています。
会話自体は成立していますが、二人の間に固有のやり取りは生まれていません。
これがインタビューのように感じる理由です。
情報を引き出す反応と、態度を引き出す反応は違う
会話では、相手から返ってくるものを二つに分けて考えると整理しやすくなります。
情報を返す反応
誰が好き? ○○くん
旅行はどこへ行った? 北海道
休みの日は何してる? 家で動画見てる
これは、事実や説明を返す反応です。
会話の材料は増えますが、相手は基本的に答える役です。
態度を返す反応
自分の推しをそのまま営業するタイプねw いや、普通に一番入りやすい人を選んだだけw
旅行は全部予定決める派やろ いや、現地では何も決めんよw
休みの日、本当に家から出んタイプ? さすがにコンビニくらいは行くわw
こちらの見方に対して、
- 否定する
- 訂正する
- 同意する
- 笑う
- 言い返す
という反応が返っています。
相手の態度が出るため、会話が一問一答ではなくなります。
相手の回答に、軽く意味づけを返す
相手から情報をもらったら、そのまま次の質問へ進むのではなく、こちらなりの解釈を一度返します。
たとえば、
ジャニーズ知らん人に一人だけ見せるなら誰?
と聞き、相手が自分の推しを選んだとします。
そこで、
へえ、なんでその人?
と聞くと、再び説明が始まります。
一方で、
自分の推しをそのまま営業するタイプねw
と返すと、相手は、
いや、その人が一番分かりやすいからw そう、まず推しを見てほしいw いや、推しは別の人なんよw
と返せます。
ここで重要なのは、「営業するタイプ」という分析が正しいことではありません。
少し偏った見方を置くことで、相手に反応する余地を渡していることが重要です。
正しく分析する必要はない
会話の中で返す仮説は、正確である必要はありません。
むしろ、少し雑なくらいの方が相手は反応しやすくなります。
一人旅する →「全部自分で決めたいタイプやろ」
旅行は計画を立てる →「旅のしおり作る系ね」
推しを勧める →「自分の推しから布教するタイプね」
相手は、
いや、むしろ何も決めたくない そこまではしないw 布教したいけど、入口は別の人
と修正できます。
この訂正の中に、その人らしい情報が出てきます。
最初から正解を当てようとすると、会話は重くなります。
軽く仮説を置き、相手に直してもらうくらいで構いません。
「〜するタイプね」は、会話を次へ進めるために使う
「〜するタイプね」「〜する系女子ね」という返しは、単体で大きな笑いを取るものではありません。
相手の回答をそのまま受け取らず、軽く人物像に変えて返すことで、次の反応を作ります。
旅行では全部予定を立てる →「自由時間まで予定に入れる系ね」
店を選ぶときに口コミを全部見る →「失敗を一回も許さないタイプね」
好きな人を友達にも勧める →「好きになったら周りも巻き込む系ね」
相手が、
いや、そこまではしないw そう、失敗したくない でも友達にはそこまで勧めんよ
と返せば、掛け合いになります。
これは単なるオウム返しではなく、相手の回答を次の反応へ変える加工です。
深掘りだけでは、インタビュー構造は崩れない
会話を深掘りすれば距離が縮まると思われがちです。
しかし、どれだけ深い質問をしても、
自分が聞く 相手が答える
という構図が変わらなければ、インタビュー感は残ります。
たとえば、
一人旅するんだ どこへ行った? なんで一人で行こうと思った? 一人旅の何が好き?
と聞けば、詳しい話は聞けます。
ただし、自分が聞き役のままなら、相手が一人で話している状態です。
そこで、
一人旅できる人って、人に合わせるの面倒になった結果やろw
と軽く返せば、
いや、一人の方が予定変えやすいからw でも友達と行く旅行も好き むしろ一人だと寂しくなる
と、その人の態度や立場が返ってきます。
深掘りは材料を見つける技術です。
その材料を掛け合いに変えるには、こちらの見方も返す必要があります。
相手を説明者から参加者に変える
質問だけの会話では、相手は説明者になります。
自分の趣味を説明する 過去の出来事を説明する 好きな理由を説明する
説明者になった相手は、正しく答えようとします。
そのため、会話が真面目になりやすくなります。
一方で、こちらが軽い仮説や決めつけを返すと、相手は、
- それは違う
- そこは合っている
- 実際はこう
- そっちこそどうなの
と参加できます。
会話の相手を説明者から参加者へ変えることが、インタビュー感をなくすうえで重要です。
相手が反応しやすい形を作る
良い仮説や決めつけは、相手が簡単に肯定・否定できます。
自分の推しを営業するタイプね →「そうそう」「いや違う」
旅行は全部計画立てる派やろ →「そう」「現地では適当」
インドアって、一日外出ないレベル? →「本当に出ない」「そこまではない」
反対に、相手が答えにくい決めつけは避けます。
友達少なそう 性格きつそう 恋愛で重くなりそう
こうした言葉は、本当に相手を評価しているように聞こえます。
軽い掛け合いを作るには、
- 否定しても困らない
- 本気の欠点に触れていない
- 少し誇張されている
- 相手がすぐ訂正できる
という条件が必要です。
態度の反応から、新しい情報が出てくる
態度を引き出すことは、情報を捨てることではありません。
むしろ、態度の反応から、その人らしい情報が出てきます。
自分の推しを営業するタイプねw いや、推しは別なんよw
ここで新しく、
- 推しと入口として勧める人は別
- 相手に合わせて選ぶ
- 自分の好みをそのまま押すわけではない
という情報が出ます。
つまり会話は、
情報をもらう ↓ こちらが軽く意味づけする ↓ 相手から態度が返る ↓ その態度から新しい情報が出る
という循環になります。
これが続くと、質問と回答ではなく、二人の会話になります。
すべての回答に意味づけする必要はない
相手が答えるたびに、
つまり○○なタイプね じゃあ○○系女子やね
と返していると、今度は分析されているように感じます。
すべての回答を加工する必要はありません。
普通に聞く場面、共感する場面、軽く意味づけする場面を混ぜます。
たとえば、
旅行好き どれくらい行く? 年に3回くらい 結構行くね。誰と行くことが多い? 一人でも行く あ、一人でも全部動けるタイプなんや
この程度で十分です。
情報を二、三個受け取った後に、一度だけ見方を返すくらいの方が自然です。
相手が真面目に返したら無理に続けない
こちらが軽く仮説を置いても、相手が必ず掛け合いに乗るとは限りません。
地図分かる?w うん、分かるよ
自分の推しを営業するタイプねw そうかもしれないです
と真面目に返ってくることもあります。
その場合は、無理にいじりを重ねる必要はありません。
相手がまだ警戒していることもあれば、そもそも軽い掛け合いを好まない場合もあります。
一度試して反応が薄ければ、普通の会話へ戻します。
役割づくりは、相手を無理に乗せる技術ではありません。
相手が掛け合いに参加しやすい入口を作る技術です。
まとめ
会話がインタビューになるのは、質問によって情報を集めるだけで、相手の回答に対するこちらの見方を返していないからです。
相手から情報をもらったら、
- 軽く意味づけする
- 少し雑な仮説を置く
- 「〜するタイプね」と人物像を仮置きする
- 相手が肯定・否定・訂正できる形にする
という返しを挟みます。
深掘りは、話す材料を見つけるために必要です。
しかし、材料を二人の会話に変えるには、相手から情報だけでなく態度の反応を引き出す必要があります。
会話を盛り上げるのは、質問の数ではありません。
相手の回答にこちらの見方を返し、その見方に相手が反応できる状態を作ることです。