結論

一つの回答をそのまま掘り続けるのではなく、まず一つの話題を浅く横に広げます。

その中から、相手が話しやすそうな部分や、自分も経験を返せる部分を見つけて、そこだけを深掘りします。

会話は、

浅く広げる → 反応を見る → 当たりだけ深く掘る

という順番で進めた方が自然です。


「休みの日は何をしているの?」だけでは広がりにくい

初対面の会話では、

休みの日は何してるの?

と聞くことが多いと思います。

しかし、この質問は相手に回答を丸投げしています。

相手が、

寝てる YouTube見てる 友達と遊んでる

と短く答えた場合、そこから何を聞けばいいか分からなくなります。

そこで、

YouTubeでは何を見るの? 誰の動画が好き? いつから見ているの?

と、一つの回答を縦に掘り続けると、今度は質問攻めになりやすくなります。

相手の回答が、自分の知らないアイドルや趣味だった場合は、さらに会話が難しくなります。

相手は詳しい人、自分は教えてもらう人という構図になり、二人の掛け合いが生まれにくいからです。


まずは抽象的な言葉の「程度」を聞く

相手が自分について話したら、すぐに内容を掘るのではなく、まず程度を聞きます。

たとえば、

うち、インドアなんよ

と言われた場合、

家で何してるの?

と聞くより、

どれくらいインドアなん? 予定なかったら一日中外に出ない感じ?

と聞きます。

「インドア」という言葉が指す範囲は、人によって違います。

  • 休日は本当に一歩も外へ出ない
  • 誘われれば出かける
  • 買い物や外食には行く
  • 普段は出ないが旅行は好き
  • 単に大人数の予定が苦手

程度を聞くことで、相手がどの位置にいるのかが見えてきます。

また、こちらから仮の基準を出しているため、相手も答えやすくなります。

そこまでではないよ コンビニには行く 誘われたら普通に出る 旅行はむしろ好き

このように、肯定だけでなく訂正や例外が返ってきます。


「どれくらい?」だけで終わらせない

単に、

どれくらい?

と聞いても、相手には何を答えればいいのか分かりません。

そのため、こちらから具体的な目盛りを置きます。

人見知りの場合

どれくらい? 初対面だと自分からは全然しゃべらない感じ?

お酒が好きな場合

どれくらい好きなん? 家でも一人で飲む?

旅行が好きな場合

どれくらい? 連休があったら毎回どこか行く感じ?

料理をする場合

どれくらい作るん? 平日もちゃんと自炊する?

相手の曖昧な自己評価に対して、こちらから具体的な尺度を置くのがポイントです。

相手はその尺度に対して、

そこまではしない むしろもっとする 平日はしないけど休日はする

と修正できます。

この修正された部分が、次に広げるべき話になります。


最初から一つの枝を深く掘らない

会話が苦手な人は、一つの回答が出ると、その先をひたすら聞こうとします。

たとえば、

インドア ↓ 家では何してる? ↓ YouTubeを見る ↓ 何を見る? ↓ ジャニーズ ↓ 誰が好き? ↓ いつから好き?

という進め方です。

これは、一つの枝を先端まで掘ってから、話がなくなったところで元へ戻る会話です。

相手と同じ知識があれば盛り上がることもあります。

しかし、自分がジャニーズに詳しくなければ、相手に説明してもらうだけになります。興味のない話を無理に掘っても、二人の距離は縮まりません。

一つの枝を深く掘る前に、その話題の周辺を広げた方がよいです。


一つの話題を横に広げる

「インドア」という一つの話題でも、複数の方向があります。

  • どの程度外へ出ないのか
  • 誰かに誘われたら出るのか
  • 旅行やライブは例外なのか
  • 家では何をして過ごすのか
  • 一人の時間が好きなのか
  • 外出の準備が面倒なのか
  • 人混みが嫌いなのか

すべてを質問する必要はありません。

相手の回答に合わせて、同じ話題の中で切り口を少し変えます。

予定なかったら本当に外出ない感じ?

誘われたら出るん?

でも旅行とかは行く?

この中で相手が、

旅行は好き。近場にちょこちょこ出るのが面倒なんよ

と少し詳しく返してきたら、そこが深掘りする場所です。

ああ、出るならちゃんとイベントにしたい感じなんや

と返せば、「インドア」という表面的な属性から、その人なりの感覚へ話を進められます。


反応が強い場所だけを深掘りする

深掘りする場所は、こちらが決め打ちするものではありません。

相手の反応を見て決めます。

  • 回答が少し長くなった
  • 具体的なエピソードが出た
  • 感情が乗った
  • 相手からも聞き返してきた
  • 自分にも似た経験がある

このような場所は、二人の会話になりやすい部分です。

逆に、

なんとなく 別に普通 友達に誘われたから

と短く終わる場所を無理に掘っても、質問が増えるだけです。

話題を変えるのではなく、同じ話題の別の面へ移ります。


深掘りとは、質問を増やすことではない

深掘りというと、

なぜ? それで? どう思った?

と何度も質問することだと思われがちです。

しかし、質問だけを重ねると、相手は面接を受けているような感覚になります。

相手の回答を受けたら、こちらも経験や解釈を返します。

普段は出ないけど旅行は好き

と言われたら、

分かる。近所にちょこちょこ出るより、出るならちゃんと予定にしたいよな

と返します。

ここで相手が、

そうそう。準備して出るまでが面倒なんよ

と返せば、会話は一問一答ではなくなります。

深掘りの目的は、相手から情報を回収することではありません。

二人とも話せる接続点を探すことです。


共通点がない話を無理に掘らない

相手が好きな趣味について、自分に知識がないこともあります。

その場合、いくら詳しく聞いても、

相手が教える 自分が聞く

という構図になりやすくなります。

相手の趣味を理解しようとすること自体は悪くありません。

ただし、説明を受け続けるだけでは掛け合いになりません。

その趣味の中に、自分も経験したことのある感覚があるかを探します。

たとえば、アイドル自体には詳しくなくても、

  • ライブ会場の一体感
  • チケットの抽選を待つ感覚
  • 遠征する楽しさ
  • 一つのものを長く追う感覚

などには接続できるかもしれません。

それでも接続点が見つからなければ、その枝を掘り続ける必要はありません。

同じ話題の別の面へ移るか、自然に別の話題へ進みます。


会話を深掘りするときの流れ

会話を深掘りするときは、次の順番を意識します。

1. 相手の抽象的な言葉を拾う

インドアなんよ 人見知りする お酒が好き 旅行が好き

2. 程度を聞く

どれくらい? ○○するくらい?

3. 境界や例外を見る

誘われたらどう? ○○だけは別? どこまではする?

4. 複数の入口を作る

一つの回答だけを掘らず、その話題の周辺を見る。

5. 反応のよい部分だけを掘る

相手の感情や具体的な経験が出た場所を選ぶ。

6. 自分の経験や解釈も返す

質問だけで終わらせず、二人とも話せる会話にする。


まとめ

会話の深掘りでは、最初から一つの回答を先端まで掘る必要はありません。

まず相手の言葉がどの程度なのかを具体化し、その話題を複数の方向へ浅く広げます。

その中から、

  • 相手が話しやすい
  • 感情が出る
  • 自分も経験を返せる

という場所を見つけて、そこだけを深掘りします。

会話の基本は、

一つの枝を掘り続けることではなく、話題の面を広げてから当たりを探すこと

です。